□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■ SCTとは? □♪■♪□■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■
SCT Examはアイルランド音楽の国際協会「Comhaltas Ceoltóirí Éireann(略してCCÉ)」が1998年より実施しているアイルランド音楽の演奏技能検定です。
「SCT」とはアイルランド語で「Scrúdú Ceol Tíre」の略で「Scrúdú = 試験、テスト」、「Ceol = 音楽」、「Tíre = 国の」という意味になります。 アイルランド音楽界の権威である「CCÉ」が認定する唯一目に見える形として結果を残せる「検 定試験」ですが、
決してアイルランド音楽を演奏したり学んだりする人が皆受けないといけないというものではありません。
試験を受ける受けないはそれぞれの演奏家/学習者の自由です。
・試験は8段階にレベル分けされています SCT Examはグレード1から始まりグレード8が最上位グレードとなります。
・受験できる楽器、受験資格について どんな楽器でも受験可能です。リルティングやホイッスリング(口笛)など楽器以外でも受験可能です。 どのグレードから受けるかは自由に決めることができます。年齢に関わらずどのグレードでも受験できます。 ただしグレード6以上を受けるためには受験する年の1月1日に14歳に達していないといけません。
グレード6以上のグレードを受験するためにはまず先にグレード6に合格しておかないといけません。
SCT Examは現在アイルランド、アメリカ、イギリスにて正式に行われています。
アイルランドでは年2回、冬と夏に試験が行われています。
通常アイルランドの場合では冬の試験であれば1月から2月の間に各地で順番に行われていきます。
全国一斉に同じ日に試験が行われるのではなく、試験官が各地域を順番に回って各地域に設けられた特設会場で行われます。
会場は学校や公民館、時にはホテルの中にある貸し会議室が会場になることもあります。
・日本で受験するには 日本ではFéile(フェーレ)というイベントの期間中にのみ特別に受験をすることが可能です。
これはこのイベントの期間中のSCT ExamのChief Examiner(審査員長)を務めるOisín Mac Diamada氏が来日するからです。
彼の計らいのもとFéile期間中に限り日本でも受験が可能となっています。
日本の受験では通訳を付けることも可能です。(別途費用がかかります)
□♪■♪□■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□ 検定料 □♪■♪□■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□
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Grade 1 €30 (応相談)
Grade 2 €30 (応相談)
Grade 3 €35 (応相談)
Grade 4 €40 (応相談)
Grade 5 €45 (応相談)
Grade 6 €50 (¥10,000)
Grade 7 €60 (¥12,000)
Grade 8 €70 (¥14,000)
※グレード6以下は基本的に子供向けということもあって日本では受験した例がないため、検定料が定まっておりません。
グレード6以下の受験を希望する方は事前にご相談ください。
お問合せは、ceol★comhaltas.jpまで。 ★を@にかえてください
□♪■♪□■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□ 審査基準 □♪■♪□■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□♪■♪□
試験はどのグレードにおいても以下の4つの項目のついての審査されます。
実際に曲を演奏します。配点は60 marks(60点)でここが最も高い配分の配点となってます。
演奏する曲の種類、曲数はグレードによって異なります。
グレード1ではエアとポルカとダブルジグを1曲ずつ弾きます。
最上位のグレード8ではダンス曲4種類とスローエア合わせて11曲を 弾きます。
どのグレードであっても基本的に1曲を2回繰り返して弾きます。
演奏する曲目は受験者が自由に決めることができます。 SCT Examのシラバス(試験の概要書)にどんな曲を弾いたらいいかグレード別に曲目リストが載っているので、それを参考に曲を決 めることもできます。
日本の音大の入試などでも行われている「聴音」に相当するでしょうか。
この項目の配点は10点です。
といっても決して難しいことを要求されることはありません。
アイルランド音楽を学ぶ上で基本となる事柄のみが扱われます。
基本的にどのグレードであっても耳で聞いて、聞いた通りに弾き返せるかどうかという点が問われます。
アイルランド音楽はもともと楽譜を用いずに演奏家から演奏家へと聞き伝えに受け継がれてきた音楽ですので、
「聞いた通りに弾 ける」というのが何より大切です。
グレード1からグレード5の段階では実際に楽器で曲を弾くことはしません。
試験官が手で叩いた手拍子のリズムをよく聞いて、試験官が叩いたのと同じように叩き返します。
グレードが上がるに従いリズムが複雑になっていきます。
グレード6からは実際に楽器で曲を弾きます。
試験官がある曲のAパートのうちの2小節を3回繰り返して弾くので、それを弾かれた通りに弾き返します。
その他にAural Awarenessでは曲の種類や、曲が何の調で弾かれたのかを言い当てる項目もあります。
試験官との質疑応答が中心となります。
配点は20点です。
グレード6以上では作文の提出が義務付けられています。作文のテーマはシラバスに指定されていますのでご参照ください。作文の長さはグレード6、7では750ワード、グレード8では1000ワードとなっています。(エッセイのサンプルをご希望の方はこちらからお問い合わせ下さい)
グレード6~8では作文の内容に沿って試験官との質疑応答になります。
Repertoireは予め提出しておいたレパートリー表から試験官がアットランダムに曲を選ぶので、受験者は選ばれた曲を弾きます。普
段自分のレパートリーとしてよく弾く曲を書き出しておけばよいので、特に難しいことはないと思います。
レパートリー表は試験当日に試験官に渡します。
音楽を弾く上での基本的な技術力を試されます。この項目の配点10点です。
グレードの低い方では簡単な音階や簡単なメロディを初見で弾きます。
グレード6以降ではアイルランド音楽でよく使われるドリア調やミクソリディア調の音階や、8小節にわたる曲を初見で弾きます。
PerformanceからLiteracyまでの4つ項目についての審査を受け40点以上取れば合格です。
合格すると合格証が送られてきます。合格証と合わせて評価シートも送られてきます。
評価シートには試験官のコメントが書いてあり、自分の演奏の良かった面、悪かった面、もっと伸ばせる点などを客観的に判断す ることが出来ます。
40~59点 = Pass (可)
60~74点 = Merit (良)
75~89点 = Honours (優)
90~100点 = Distinction (秀)
最上位のグレード8をDistinctionで合格した受験者には「Mícheál Ó hEidhin Medal」という賞が授与されます。
Mícheál Ó hEidhinはアイルランド音楽界の著名な講師の一人でSCT Examの発起人の一人でもあります。
またグレード8をHonours以上の成績で合格した受験者にはグレード8の上に位置する
「Advanced Performance Certificate」とい う資格を得るための試験を受ける権利が与えられます。
「Advanced Performance Certificate」は2016年度の試験より新設された新しい資格ですが、 その名の通り上級の演奏家であることを証明する証明書です。
現審査員長を務めるOisín Mac Diarmada氏自身も特に推している資格ですので、 さらなる高みを目指す演奏家はぜひ目標にしてみてはいかがでしょうか。
英語版 シラバス
https://comhaltas.ie/images/press_room/sct_syllabus_2016_english.pdf
SCT Examを受けるか受けないかは基本的に個人の自由です。 アイルランド音楽を演奏する上で絶対に必要なものでもありません。 SCT Examを一番のメリットは今現在の自分自身の位置を客観的に知ることができるということでしょうか。 アイルランド音楽は意外と難しいもので、なかなかアイルランドの人と同じように弾けないものです。 同じように弾けないということは、つまりどこかが間違っているということになります。 どこかが間違っているのは分かっても、それがどこなのかを知ること自体も難しいものなのです。 グレードテストを受けていくことで現在の自分のレベルをはっきりと知ることができます。 レベルを上げるためには何が必要なかということも分かってくるので、上達するための具体的な練習計画を立てるのにも役に立ち ます。 ただ闇雲に弾いているだけでは楽器の演奏は決して上達しません。 必要なことを、必要なときに、必要なだけ、と効率の良い練習の仕方が大事です。 もしあなたが全くの楽器に触れたことがなく、アイルランド音楽の知識もゼロだとすれば、当然グレード1から始めればいいわけで す。 アイリッシュパブなどで楽し気に弾いている姿にあこがれて、早くそういう風に弾いてみたいと思う気持ちは分かりますが、いき なり早いスピードのダンス曲を弾くことなど出来るわけがありません。 まずは基礎の基礎をしっかりと覚えてグレード1で求められれることがクリアできたら次のグレードに進めばいいわけです。 グレード1が出来たらグレード2、グレード2が出来たらグレード3と、徐々にステップアップしていけばいつかは最上位のグレード8 に到達できるはずです。 グレード8が終わればもうその上はないのですから、あなたも立派なアイルランド伝統音楽の演奏家の仲間入りです。 もし1年に1グレードずつ受けていったら8年かかってしまいますが、逆に考えればじっくりと腰を据えて頑張ればアイルランド音 楽は8年でマスターすることができるのです。 8年なんて案外短いものです。実際のところテキトーに自己流で弾いている人の中には10年以上も弾いていて1曲もまともに弾けな い人も多いです。 10年もやって1曲も弾けないで終わるよりかは8年でマスターできた方がいいと思いませんか? 検定試験というと受検社会の日本では、「競争」や「選抜」というイメージが付きまといます。 「なんで趣味の音楽でまで”選抜”されたり”順位”を付けられなきゃいけないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。 しかし、この検定は段階的に目標を定めて、少しずつ達成させていくことにより、アイルランド音楽を学ぶ喜びや達成感を高める 事を目的としています。 決して難しい課題を課して落とすための試験ではありません。それは、採点評価の方法や高い合格率からも伺えます。 SCTは本当にアイルランド音楽が好きな人が、リアルなアイルランドの演奏が出来るようになるまで、きちんとステップアップで きるための手順を教えてくれます。 検定というよりは、アイルランドの一流の演奏家のレッスンを受けるような感じです。 アイルランド音楽の演奏力のための「総合健康診断」とも言えるでしょう。